片頭痛はズキズキと脈打つような感じ(拍動性)の頭痛が繰り返し起こるものですが、脳の検査をしても異常は見つからない。こめかみや目の奥などの部位が、「ズキンズキン」脈打つように・「ガンガン」響くように痛くなる頭痛です。また、片頭痛では何となく頭痛がおきそうな「予兆」と呼ばれる症状がみられるようです。
人によっては数時間から1,2日前から、結構な割合で具体的には、情緒不安定になる、気分がすぐれない、あくびを繰り返すなどさまざまなものがあります。
片頭痛は脳が興奮して過敏に反応

片頭痛が起こるきっかけは、ストレス、ストレスからの解放、寝過ぎや寝不足、女性ホルモンの変化(月経周期)、天候や気圧の変化、空腹、肩こり、アルコールなど、実に様々なようです。
片頭痛のメカニズムは解明されていない部分があります。ストレスなどの刺激により脳血管内の神経伝達物質セロトニンが増減し、その結果、脳の血管が過度に拡張、周囲の神経(三叉=さんさ=神経)を刺激し、神経炎症を起こして痛みを生じるとともに、脳が興奮状態になり、光や音過敏を生じると考えられている。
なぜ片頭痛が起こるのですか
『片頭痛でつらく顔が引きつる』『私、片頭痛持ちなんですよ。』『頭痛ひどいから痛み止め飲むわ。』など人によっては日常的な状態ですが、その片頭痛はなぜ起きるのですか?

片頭痛の原因としては「三叉神経(さんさしんけい)血管説」という説が最も有力です。ストレスなどのトリガーにより三叉神経(痛みを感ずる神経)から痛み物質(正確にはCGRPなど血管作動性物質)が放出されます。
これが血管に作用して、頭の血管が「拡張」し「炎症」となり、頭痛がひき起こされるのです。
片頭痛の痛みの説は以下の3つ位ですが、どちらにせいも脳(血管)や炎症に関わっているようです。
・脳の血管をとりまく三叉神経の炎症が関わっているという説
・頭蓋骨内の血管が広がり炎症を起こしているという説
・脳そのものに何らかの原因があるという説
片頭痛は遺伝的要因や年齢と共に軽くなる傾向
また片頭痛は肉親に同じような頭痛を持つ人が多いため、遺伝的な要素があると考えられています。
片頭痛の年間有病率は8.4%で、若年から40台の女性では18%程度の有病率と5人に1人程度は偏頭痛を持っています。
子ども時代や若い頃から症状が出現することが多いという。治療法として、三叉神経に働き掛けて脳の興奮を抑える片頭痛薬のトリプタンが有効だ。拡張した血管を収縮させ、血管周囲の炎症を抑えることで、頭痛を和らげる効果があるとされる。
年を取ると動脈硬化で血管が広がりにくくなるため、片頭痛の痛みは軽くなる人が多い。しかし、長年、片頭痛の発作を繰り返すうちに脳の過敏性が増し、興奮状態が鎮まりにくくなる。
その結果、「わずかな環境の変化にも脳が過敏に反応するようになり、めまいや耳鳴り、不眠などが表れます。過去に片頭痛があり、原因不明の耳鳴りやめまいに悩んでいる人は、疑ってみてもいいでしょう」。
片頭痛のよくある対処法

- 暗い、静かな場所で横になる
片頭痛は、光のまぶしさや音によって痛みが増すことがあります。また、動くと痛みが増すので、光や音を防いで安静に過ごしましょう。 - 冷やしたり押さえたりする
痛む部分をアイスパックや氷で冷やしたり、圧迫したりすることで周辺の血管が収縮するため、痛みがやわらぎます。 - 睡眠をとる
片頭痛は眠ることで改善します。仕事中に痛みが起こった場合も、可能なら仕事を中断して仮眠をとりましょう。寝過ぎも逆効果で 、規則正しい生活を心がけましょう。 - カフェインの入ったものを飲む
カフェインには血管を収縮させる働きがあるため、痛み始めにコーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物を飲むと痛みが和らぐことがあります。 - 鎮痛薬を服用する
鎮痛薬は、痛みのもととなるプロスタグランジンの産出を抑え、頭痛を緩和する働きがあります。痛みがひどくなる前に、早めに鎮痛薬を服用するのも一つの方法です。ただし、月に10日以上、鎮痛薬を服用するのは注意が必要です。
対してリウマチなどの痛み止めで鎮痛剤を毎日服用しても問題はないが片頭痛における鎮痛剤においては、長期間の利用は片頭痛が悪化する場合があります。
3か月以上継続する場合は一度医師にご相談ください。

片頭痛で避けるべき食品は何ですか?
一部、食品によっては片頭痛は引き起こす可能性があります。
加工食品(ソーセージ、ベーコン)、チロシンを含む食品(乳製品、チーズ、チョコレート、ヨーグルト)、アスパルテームを含む食品(無糖ヨーグルト、低カロリーソーダ)など。
*チロシンは、神経細胞の興奮や抑制を伝達するアドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の原料となります。
*アスパルテーム(aspartame)は安全性・危険性に関して最も論争がある人工甘味料。
片頭痛を改善する4つの食品
マグネシウムは人体に欠かせないミネラルがあり、体内でマグネシウム含有量が不足すると頭痛の原因となるとも言われています。マグネシウムには筋肉をリラックスさせて血液を調節するだけでなく、片頭痛の発作の可能性を減らすこともできます。
以下のようなマグネシウムが豊富な食品は次のとおりです。
- 野菜と果物:バナナ、スターフルーツ、ほうれん草、海藻、昆布、カリフラワー、ケール
- 全粒穀物:玄米、全粒麦、全粒そば、粗大麦
- ナッツ:ヒマワリの種、カシューナッツ、アーモンド
- 豆:黒豆、大豆、エンドウ豆、そら豆
スマトリプタンで脳の血管、炎症を抑える

発作時に脳の血管の拡張を抑えるとともに、痛み物質の放出を抑えて血管の炎症も抑えます。そのため痛みが起こってから使用しても効果があります。
痛み止めは処方、市販の2種類
市販薬は効果が薄いのですがお薬との相性によっては選択肢としても大変有効です。
①ロキソニン、カロナールなどの通常の痛み止め(市販の痛み止め)
②片頭痛専用の痛み止め(スマトリプタン)
痛み止めの飲み方の注意点は2つです。
①頭痛を感じたら早めに飲む
片頭痛専用の痛み止めの服用のタイミングは、頭痛が軽度か、もしくは片頭痛発作早期(発症より1時間ぐらいまで)が効果的です。我慢できなくなってからの内服や、痛くなりそうな気がする時(片頭痛前兆期・予兆期)に内服してしまうと、薬が適切に効かず、痛みが治りにくい状態になってしまうことがあります。
*経験から片頭痛が起きそうな時は、片頭痛専用の痛み止めを痛みを感じる前から飲むのもおススメします。
②飲み過ぎに注意する
薬物乱用頭痛を防止するため通常の痛み止めの使用は月10日程度に留める
・1日複数回内服した日も1日と数え、それが月10日を超えないようにして下さい。(回数ではなく、日数に注意)
「怖い」「危険な」片頭痛と「怖くない頭痛」?!
片頭痛などは日常的につらい病気ではありますが治療をしないと死に至るようなものは含まれません。ですが、頭痛の中でも注意が必要なのは原因が、くも膜下出血、脳動脈解離、脳腫瘍などが挙げられます。
くも膜下出血は、脳動脈瘤という血管のコブが破裂することで起こります。突然の激しい頭痛で吐き気を伴うことが多く意識を失うこともあります。
脳動脈解離は、急性に後頭部に比較的強い頭痛を生じます。
脳腫瘍は、数ヶ月から数週間にかけて徐々に強くなっていくことがあります。
いつもと違う頭痛として、突然の頭痛、今までに経験したことのない頭痛が起きます。
次第に頻度と程度が増していく頭痛、50歳以降に初めて出た頭痛、ガンや免疫不全の病気のある患者さんの頭痛、手足の麻痺や言葉が出なくなる症状を伴う頭痛、精神症状を有する頭痛、発熱、頸のこわばり(項部硬直・髄膜刺激症状)を有する頭痛があれば、偏頭痛ではなく脳の病気の可能性もあります。
怖くない頭痛は、「薬を飲めば治る」のは一般的な片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛がありますが薬の乱用は「薬物乱用性頭痛」を引き起こしてしまうリスクもありますので、やたらむやみに鎮痛剤を服用することはやめましょう。「薬の飲み方」、「1日に飲む回数」を守って服用してください。
先発薬:イミグラン50(Imigran)
後発薬:スミナット(suminat)
*一般的な偏頭痛用に処方されるお薬です。
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